日が暮れる。
優希は罪の重さを知っており、それゆえ大人に相談する事が出来なかった。
自分の力で捜索するも、ただ虚しく時間だけが過ぎていった。
雲行きはあやしくなり、小雨が降る空の下を彷徨い歩く。
機械少女 挿絵 #08 夜になり雨足は強まっていた。

家に帰る事をためらった優希は、アンナとよく遊んだ公園へと辿り着いた。

まるで雨に打たれる事が全てを洗い流してくれるような…心の中はそんな空虚な気持ちでいっぱいだった。


「このまま家に帰らないで、ご飯も食べないでじっとしていればアンナの所に行けるかな…」

そんな考えすら浮かんでいた。
うつむいて目を閉じた。
聞こえるのはざぁざぁと振る雨の音だけ。
まるで雨が体を蝕んでいくようだった。



…足音?
雨音に紛れ、聞こえた僅かな音。
それはボクの後ろで止まった。
何故だか判らない。
でも、ボクはそれが誰のものか判った。
機械少女 挿絵 #09

「優希さん…風邪ひきますよ…。」

機械少女 挿絵 #10

……風邪なんてどうだっていいよ。

機械少女 挿絵 #11 「…体は大丈夫なの?」

そこは雨とはうってかわって、暖かい布団の中。

「心配いらないですよ。多少の故障部位がありますけど、パーツがメーカーから届けば自己修復出来ますから。」
「ママ…ごめんなさい。ボクもう二度とあんな事しない…」
「くすっ、いいんですよ。…それより、初めてママって呼んでくれましたね。」
「うん、だってアンナはボクのママだもん…」

「優希さん、おやすみなさい。明日にはまた元気な顔を見せて下さいね。」
「うん。おやすみなさい…」
そういって、アンナは部屋の電気を落とそうとする。
「…ママ。」
「どうかしましたか?」
「ボクね、例え自分が機械だったとしても構わない。ママの傍に入れるなら人間じゃなくたっていいんだ。」
「…優希さん。」
暗闇の中、心なしかアンナの表情が曇ったように見えた。